夏の色

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 日は落ち込んで、太陽はその赤さをまといながら地平線にジリジリと近づいている。 母に手をひかれ、連れて行かれた場所はデパートからずいぶんと離れた空き地だった。 そしてそこにあるものが、私はいまだにこの目に焼き付いて離れないでいる。 「今日は見ていなかったでしょう」  目的地に着き、母がそういいながらほほ笑む。    空き地にあったもの、それは山吹色の花びらをまるで太陽のカケラのごとく輝かせた、一面のひまわりであった。 「あなたがね、毎日ベランダからお日様を見てるのを横で見てたけど、あれじゃああなたの綺麗な目を悪くしてしまうわ」 優しく話す母の隣で、初めての光景に私は、あのつんざくように眩しい太陽ではなく、暖かくやわらげにこちらを向いて花咲くひまわりに感激していた。  すると、母はひと際背の高いひまわりに近づくとこちらを振り向き、 「どう? 今日の太陽はきれいだった?」 と、にこっと笑った。
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