引き際

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こんな風になるはずじゃなかった、あたしは捕まるはずじゃなかったんだ。 たしかにあたしは死肉を貪り食ったり、死肉だけではなく生きているものだって食った事もある。 けれども食べなければあたしだって死んでしまう。生きるためには食べなきゃいけなかっただけなのに…… 奴らはあたしを捕まえようとする。 どうして?あたしは何も悪い事していないのに。遊びで殺したりなんてもしていない。 ただ生きていきたいだけなのに。 あたしは逃げる。 今までだって同じような場面は何度もあった。けれども、その都度あたしは逃げ出してきた。 一度だけ捕まってしまった時があったけれども、幸か不幸かあたしの容姿が醜すぎて価値がないと思ったのか逃してくれたやつもいた。 今回も逃げ切ろうと思っていたんだ。いや、逃げ切れると思っていたのに…… 奴らは新しい罠をあたしに仕掛けてきた。 いつもならば逃げ切れるはずなのに、新しい罠はあたしの体の動きを奪っていく。 悔しい、悔しい…… 怒りで体が震える。が、もがけばもがくほど奴らの罠は体に食い込んでくる。 あぁ、あたしの体は奴らに渡ってしまう。 「やった~、やっと狙ってたやつが来たよ!」 「今まで何度も逃げられてたもんね。」 「これ、見た目グロいけど新鮮なうちに茹でて食べると、めっちゃ蟹の味するんだぜ。」 そう、あたしはシャコ。 今日、奴らに食べられる。
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