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私に近付いた後輩は慌てたように問いかけてきた。
「まさか、ですけど…。先輩、見てるんですか?『白樹の夢』を…。」
「見てる」その三文字さえも声に出す事が出来ず、頷いた。
「そ、そんな…本当にあるものだったなんて…。大丈夫、きっと大丈夫ですよ!
そうだ、今日見なければ良いんですよ??」
気分が悪い、生気を取られている影響か、ショックでなのかは定かではないが。
見なければ…そうか、見なければ良いんだ。
「ありがとう。この話を教えてくれて。」
それだけを言えば、直属の上司に急用が出来たと理由付けて早退した。
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