no.1

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no.1

高い建物が並ぶ若者の街。 大きな画面に映し出される彼、渋谷 奈緒。 「今や若者の絶対的カリスマ渋谷 奈緒くん出演の新cmが届きました!」 くっきりした二重にグレーがかった瞳。 すっきりと高い鼻に薄い唇。 灰色の髪の毛には自然なセットが施されている。 細身だが男らしさを感じさせる身体。 彼は生まれながらにして勝ち組だった。 「ほんとカッコイイ!!」 「男でも綺麗な顔してんなって思うよな」 男女問わず高い好感度を誇った。 「はー、しんどい疲れた休みてぇ」 車内で携帯片手にため息をつく彼、渋谷 奈緒。 「あと撮影とその合間に雑誌のインタビューよ。がんばって」 運転席にてスケジュールを読み上げるマネージャー。 「人気アイドルグループの青山くんに熱愛報道です!!!」 車内に設置されたテレビからニュースが流れる。 サングラスを取り、そのニュースをまじまじと見る。 「気持ちわりぃ、こいつ終わったな」 フッと鼻で笑い携帯をいじり始める。 そんな彼に声をかけるマネージャー。 「あんたも気をつけなさいよ?」 「俺が?笑わせんなよな」 そう言った彼は窓に肘をつき外を見る。 「あんたにその心配はいらないわよね」 そう言ってマネージャーはクスクス笑った。
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