no.1

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やってみるとありがちな単純アプリだった。 プロフィールを決め、タイムラインでコメント。 そしてそれに反応した奴からメッセージが届き個人的にやり取りをする。 「奈緒!撮影始まるらしい!行くぞ!」 「お、おう」 俺は携帯をポケットにいれ撮影に向かった。 「奈緒くんの好きな女性のタイプは?」 「家庭的な人ですかね。料理が上手な人は素敵だと思います」 あぁ、顔が疲れる。 雑誌のインタビューに笑顔で答える。 なんといってもこの王子様キャラを崩してはいけない。 「あーーー、疲れた」 インタビューが終わり携帯をいじる。 街角ちゃっとを開いてタイムラインを見る。 どいつもこいつもくだらねぇ事しか書いてない。 「ん?」 (もうすぐライブ。足がくがくやわ) プロフィールには女の子の後ろ姿。 同い年…くらいか? (がんばれ) 暇つぶしにそう送ってみると、すぐに既読がつき返信が来た。 (ありがとう!!) そんな他愛もない会話ですら、新鮮だった。 (どこでライブなの?) (渋谷のライブハウス!!) 「奈緒!早く渋谷行くで!!」 渋谷かぁ…こんな偶然もあるんだな。 貴澄が荷物を持って俺の手を引く。 (俺も、渋谷行くよ) (そっか!気が向いたら見に来てね!) ライブか…俺が芸能人じゃなかったら行けてたな。 「そんな引っ張んなよ!落ち着け!」 テンションが高い貴澄にそう言うが、全く聞こえていない。 やれやれ、俺は貴澄に連れられるがままについて行った。
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