十代の男女の夏休み

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私の隣に座る優は。幼い頃から変わらずに、私の考えに賛意を示して頷いてくれて。 『それは良い考えだと思いますね。絵美。学校が夏休みに入ったら、いつ海に行きますか?』 『興味深い画材ね。私も同行しても構わないかしら?、九条さん』 『いつも悪いな優。勿論構わない部長。日取りとしては、いつが良いだろうか?』 私と、優と、部長の三人が話を進めていると。北条が手を上げて。 『あの、俺の意見は聞かないのかな?』 北条の疑問に、優が優雅に緑茶を一口飲んでから。 『健全な十代の男子である北条君ですからね。私の大切な幼馴染みである絵美と、学校の先輩の女子生徒である部長が。夏の海の浜辺で着る水着に対して強い関心を抱く事に関しては、疑いの余地は無いと思いますね』 同級生でもある、同じ十代の男子生徒の優の話に。北条は苦笑を浮かべながら頷いて。 『否定は出来ないな藤原。俺はボクシング部の活動が、夏休みの間もあるから。部活動が無い日にしてもらえるか?』 北条の要望に私は頷いて。 『判った北条。部長の方は、日取りに何か要望はあるかな?』 私の確認に部長は、少しの間考えてから首を横に振って。 『いえ、大丈夫よ九条さん。私はアルバイトもしていないから、日程が拘束される事は無いわね』 最後に私が隣に座る優の方を見ると。優は柔和な笑みを浮かべながら頷いて。 『私はいつでも絵美に合わせますからね』 私も優の目を見詰めながら笑みを浮かべて。 『感謝をしている。優』 『良い構図ね。帰宅したら印象が薄れないうちに描いて、作品にする必要があるわね』 『藤原と九条が所属する美術部の部長だけの事はあると思うっすね。先輩』 『芸術家を志す人間として、誉め言葉として受け取っておくわね。北条君♪』 北条と部長のやり取りを、優は何処か楽し気に眺めてから。 『それでは予定を決めてしまいましょうね』 私は楽し気な優に対して頷いて。 『そうするとしよう優。部長と北条も構わないかな?』 私の確認に話し込んでいた部長と北条の男女は、私の方を向いて。 『ええ、勿論よ九条さん♪』 『ああ、俺も構わないぜ九条』 私は芸術に関する事以外には、関心も興味も抱かない人間だが。優は部長と北条の男女の関係を、面白がっているようだな。
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