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そんな話を思い出したのは、ついこの間、深夜に急に小腹がすいて甘いものが食べたくなり、近所のコンビニに歩いていった時の出来事があったからだ。
コンビニからの帰り道、後ろから足音が聞こえた。
僕よりも早足らしく、だんだんと近づいてくる。
追い抜くだろうと思い先に行かせてあげるために道の端へと体を寄せたのだが、追い抜く気配がない。だんだんと近づいてきてとうとう僕のすぐ後ろから足音がする。
振り向いてはいけない。
そう思うのだが、振り向きたいという気持ちに逆らうことが難しい。どうしても振り向きたいのだ。
そこで、持っていたスマホのカメラを立ち上げて肩越しにボタンを押した。何回も。
震える手で、撮った画面を見る。
真っ暗である。いや街灯のあかりだけしか写っていない。
足音はいつのまにか聞こえなくなっていた。
それ以来、スマホが手放せないでいる。
今日はこれで32枚の写真を撮った。どれも何も写ってはいない。
写真を取らなければ足音は消えないのだ。
それでもまだなんとかなっている。写真を撮りさえすればいいのだ。
しかし昨日から夢の中でも足音が聞こえるようになってきた。そんな感じがするだけで気のせいかもしれない。何しろ夢の中のことだからだ。がしかし、夢の中の僕はスマホを持っていない。
できるだけ早いうちに、夢の中にスマホを持ち込む手段を考えなければ。
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