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くあっとあくびをした村上につられるように自分も大きく口を開けてあくびをした。 「コーヒー飲む?」 少し休憩にしようと、立ち上がり村上に聞くと頷き目元を緩めた。生徒会室の端にある簡易キッチンでお湯を沸かす。水だけ入れて放置してあったマグカップを洗い、インスタントコーヒーの粉を入れた。本当はもっと時間をかけて美味しいコーヒーを入れてあげたいと思うのだけど、そんな余裕がない。駄目だなぁ。と思うけど、仕方ないよなぁとも思う。でも、無口で表情をあまりかえることのない村上は美味しいものを食べた時はわかりやすく嬉しそうにする。それが可愛く思えて、なるべく村上には美味しいものを与えたいと思ってしまうのだ。 それにしても…と両腕を上にあげ、伸びをしながら大きく息を吐き出す。今の状況を考えると自然と落ち込んでしまう。あの、転校生が来て三週間。生徒会室に会長、副会長庶務が来なくなって二週間。だいぶ慣れたとは言え、とても厳しい。ゆっくりご飯を食べる時間もないし授業にもなかなか出れていない。徹夜での仕事も何度目だろう。 これがブラック企業か?なんて思い浮かんでも笑えるわけもなかった。まだ高校生なのだから。 沸いたお湯をマグカップに注ぎ、ゆっくりとスプーンでかき混ぜた。 「はい。どーぞ。」 村上の机に美味しくはないコーヒーの入ったマグカップを置くと「ありがとう。」と小さな声が聞こえた。 俺ももちろん無理をしているけど、たぶんそれ以上に村上は無理をしていると思う。自分の机に積み重なっていた書類がたまに少し減っている気がする。たぶん、村上がやってくれているのだ。 「もう少し頑張ったら、今日は終わりにしてあの部屋に行こうか?」 疲れた身体と頭には癒しが必要だ。頷く村上にみんなが喜んでくれる笑顔でこたえると、仕事を再開させた。
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