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今ではだいぶ手間取らずに進んでいる仕事も最初はとても大変だった。 過去の資料を漁ったり顧問のもとに通ったりしてどうにかこうにか進めていた。けれど、三日ほど過ぎたところで、大変な事に気付いたのだ。会長の机に溜まっていくサイン待ちの書類…これをどうしたらいいのかわからなかったのだ。何度電話しても出てくれず、メールにも返信はなかった。探し出して声をかけても駄目で本当にどうしていいのかわからなかった。 会計である俺や書記の村上にそんな権限はない。せめて副会長がいてくれたら…と思うけれど、いない。 そして行きついたのが、同じように強い権限を持つ風紀委員長だった。急ぎの書類を数枚持って風紀室へお願いしに行くと快く引き受けてくれた。それが良かったのか悪かったのかはわからないけれど、仕事は終わらせなければいけないのだ。 今日最後の書類を手にすると、仕事が終わったのか村上はマグカップを片手に立ち上がった。 「もう少し待ってて?あと、風紀に持って行く書類まとめといてー。」 たまっていた洗い物をしているのであろう、水の音を聞きながら急いで今日最後の仕事を進める。これが終わったら風紀に書類をお願いしに行って、あの部屋に行く。 徹夜で頑張ったから今日は少しゆっくりできるだろう。食堂でご飯食べれたらいいなぁ…なんて考えていると少し気持ちが上がるのがわかった。 あの部屋は本当に癒しなのだ。
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