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「よろしくお願いします。」
風紀室の扉の前で深く頭を下げた。
あの転校生が来てから風紀の仕事も増えていると聞いた。その中で仕事を増やす事になって本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
「お前らのせいじゃないだろ。大丈夫だ。」
そう言って俺と村上の頭を撫でてくれる風紀委員長は本当に優しい。
風紀室を出て「行こうか。」とあの部屋へと向かう。
特別教室のある棟の最上階一番奥にその部屋はある。村上がノックをすると扉から顔を出した生徒が嬉しそうに笑って「お待ちしておりました。村上様。羽生様。」と中に入れてくれた。
「また、ついてきちゃったけど、良いかな?」
中に入ってから今更のように尋ねると「もちろんです。」と優しく笑った後、「あ、山本様に連絡はされましたか?」と聞かれたので、首を振り「忘れてた…。」と呟いた。
「では、私の方からしておきますね。今日はサンドウィッチがありますよ。召し上がられますか?」
頷くと他の子がお茶とサンドウィッチを目の前に置いてくれた。ここは本当にいたれりつくせりだ。
「ありがとう。」
俺と村上の言葉に笑顔を見せてくれた子を見送りながら「本当にここは癒されるー。」と呟くと「ありがとうございます。」と優しい笑顔で向かい入れてくれた村上の親衛隊長である吉本にお礼を言われてしまった。
幼稚園から大学まであるこの学園は男子校で、中学からは全寮制になる。男子校なんて馬鹿できて楽しそう!って思った俺は中学からの途中入学で、しばらくしてその馬鹿が出来るのも一握りだと知ってガッカリした。
女子がいない学園内は思っていたよりも特殊で、見かけが良いとアイドル扱いされている。
最初は自分に関係ないと思っていたけれど、知らない間にど真ん中にいたわけで、もう4年もいればそれなりに慣れてしまった。
そのど真ん中である、生徒会は全員が全員アイドル扱いで、親衛隊なんてものが存在しそれこそ馬鹿なんかできないわけで…ちょっと窮屈かな。って思う事もあるけれど、それなりに楽しんでいたりもする。
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