時すでに遅くなし

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理科研究部は部員がそれぞれ研究したいテーマを持っていて、とても充実していた。僕自身としても活動が充実していることが嬉しいのか、里美と話す機会が多いことが嬉しいのか、当然後者が大半だがとにかく充実した部活なのは間違いなかった。  あとはしっかりした部長と、文句一つ言わずに見守ってくれる顧問がいたことだ。 ただ部員が熱心に研究するあまり、下校時刻をオーバーすることが多い、と顧問が教頭先生に怒られていたようだった。  そんなこともあってか、顧問は突然「3分前ルール」なんて言い始めた。 「これ、タイマー首に掛けられるバージョンです。」 「何ですか、それ?」 「没頭して下校時間をオーバーしないようにって考えたら、時計よりタイマーにした方が良くないですか?だから部長、責任をもって3分前に鳴るように首にかけておいてください。」 「3分で片付けろ、と?」 「ウルトラマンなら3分で仕事してしまいますよ。」 顧問の思いのこもった指示を「それじゃカップ麺が食えないよ。」と迷惑そうに部員は聞いていた。
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