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俺はすうっと軽く深呼吸して、真っ直ぐにダークオレンジを見つめて言った。
「白石くん、その周りのきらきらしたやつ何なの?数学ん時それで答え教えてくれたよな?」
「気づいてくれて嬉しいよ。何だと思う?」
「え、分かんないから聞いてるのに」
「浜坂くんこれ好きだよね。よく見てる」
「だって!気になるだろ普通!?」
「気にしてくれて嬉しい」
「そういうことじゃなくて…本当に何なの?普通そんなきらきら出ないじゃん!さっきも何か鍵開けてたし。白石くんは、その…あの…人間なの?」
「違うよ」
「マジでッ?!」
「ははっ、冗談だよ」
「どっちなんだよ!ってか本当それ何なの?!」
「空も飛べる魔法の粉」
「マジかッ!」
「冗談だよぉ。可愛いなぁもう」
「くっ、キリがない…ッ!ってか何で俺にしか見えないんだよ?!他の奴皆スルーしてるしっ!」
「きみにしか見えないようにしてるからね」
「え、そんなこと出来んの?何で?」
「きみのことが好きだからだよ」
「…はぁっ?!いやいや待て、それも冗談なんだろ?」
「これは本当だよ」
「いやいやいや信じないぞ。絶対冗談だろ。もう何にも解決しないじゃん…」
何を聞いても飄々とかわされ知りたいことは一向に分からない。聞けば聞くほど謎は深まるばかりでどうしたらいいのか、そもそも何をどうしたかったのかも分からない。
お手上げってやつだ。
「聞きたいことはそれだけ?謎は解けたかな?」
「解けるどころか深まる一方だわ。何でそんな意地悪すんの…。俺にどうしろってんだよ」
「ごめんごめん。可愛くてついやり過ぎちゃったね。ごめんね」
だからさっきから可愛い可愛いって何なんだ…。もしかしなくても馬鹿にされてるのか、俺は。
「これはきみにしか見えないようにしてるのは本当だよ。錯覚なんかじゃない。俺が創り出してるんだから」
そう言うと白石くんはまるできらきらを掬い上げるように手を上げて、ゆっくりと俺の前で手の平を傾ける。すると本当に彼の手の上から砂が零れ落ちるように光の粒子が流れ出し、地面に落ちる前にきらきらと七色に反射して消えていった。
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