side H

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「何でそんなことすんの」 「きみのことが好きだからだよ」 「嘘だろ」 「本当だよ」 「だって訳が分からないよ。俺白石くんに好かれる理由ないじゃん」 「プリント」 「………は?」 「プリント、拾ってくれたでしょう?」 「え、」 「やっぱり忘れてるんだ。ふふっ。天然だねきみは」 プリント…?何のことだろう。 とにかくこれまでのやりとりで分かったことは、彼はきらきらを操れるということと、意図的に俺にしか見えないようにしているということ。そして嘘か本当か、その理由が俺のことが好きだから…ということ。 ぶっちゃけ何も解決している気がしないし、やっぱり謎が増えていくばかりだ。 「ほら、俺ってこんな見た目してるでしょう」 「白いってこと?」 「そう。子供の時から仲間外れでさ、まぁ別に慣れてるし、邪魔されないんなら楽だしこのままでいっかなーって、思ってたんだよね」 まあ子供というのは良くも悪くも正直だし、その無邪気さは時に残酷でもある。集団の中で異質だと判断した対象への態度などは特に遠慮がないことが多い。 彼がどんな子供だったのかは知らないが、どのように扱われてきたのかは何となく想像がついた。俺には想像しか出来ないけれど。 俺はただ黙って彼の話を聞いていた。 無意識にじいっとダークオレンジの瞳を見つめていると、時折照れたように視線を逸らされてはまた見つめ合った。
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