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もしかして彼は、寂しかったのかな。
難しいことは良く分からないけど、学校で見かける白石くんはいつも無表情だった。彼に憧れ彼を好きだという人は数え切れないくらい多く居るけれど、誰も彼に近づこうとせず、彼の本質は見ようとしない。
誰もが見た目の美しさや儚さから勝手なイメージを作り上げ、勝手に注目し、「特別」という檻の中に白石くんを閉じ込めてしまった。
誰しも見た目から勝手な印象を抱かれることはあるけれど、彼の場合はそれが顕著だったのだ。
彼はずっとずっと、そんな風に自分が周りと違うということを突き付けられて生きてきたんだろうか。彼にかけられる言葉の中には勿論称賛の意味を含んだものも多くあったかも知れないが、「特別」であることを讃えるその言葉が必ずしも彼の求めていたものとは限らない。
背が高いとか鼻が低いとか丸顔とか、忍耐力があるとか涙もろいとか…身体的にも精神的にも一人一人特徴があって違うのは当たり前だけど、その特徴が顕著だった場合はどうしたって「普通ではない」に分類されてしまうし、周りも態度を変えてしまうことだってあるだろう。
誰にも平等に接するなんて不可能に等しいしそれが悪いというわけじゃ決してないのだが。
俺から見ても、白石くんは美しい。その特徴が例え他者から見たら羨ましいと思うようなものであっても、その容姿から誰もが彼を敬遠し話しかけようとしなかったのは事実だ。
そういう周りの態度に関して彼が「どうでもいい」という結論に至るまでに、色々な感情が積み重なっていたのではないかと勝手に想像してしまう。
俺は白石くんじゃないからぴったり彼の心情を言い当てるなんてことは出来ないが、もし俺が彼の立場だとしたらきっと少なからず寂しいんじゃないだろうかと。そう思ったのだ。
まぁ実際のところは分からないけれど。
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