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きゃーっ、あれえ、テレビは外で観測している人たちの歓声を伝えた。何が起きているのか、まるで分かってない人々だ。
「あれは・・・あれは、いったい何でしょうか? とても、きれいな光が広がっています」
女子アナは笑顔で言う。
台風の中でも、彼女らは突風と豪雨に身をさらし、笑顔で現地レポートをする。隕石が頭の上に降って来るとしても、彼女らは笑顔でレポートできるだろうか。
旭は簡単に暗算してみた。直径200キロの天体が分解して、直径10キロの隕石になるとすると、その数は4000コ以上にもなる。恐竜が4000回絶滅しても、まだ隕石が余ってしまう数だ。一つ落ちただけで、人類は滅亡の危機に直面する。もっとも、隕石が岩石質か氷質かで、落下時の被害は変わってくる。
窓を閉め、イスに腰を落とした。
そうだ、と手を打った。ノートパソコンを出し、スイッチを入れた。
「対隕石用の爆弾を考えたていたんだ。この六ヶ所村で手に入る材料で作るんだ」
「どんな?」
ブリューネが画面をのぞき込む。旭はファイルを開いた。
ガンアッセンブリー原子爆弾のファイルである。前半は、旭川の久麗爺が書いた。後半は、旭が書いた。
六ヶ所村には陸上自衛隊の駐屯地がある。久麗爺は6インチ砲、155ミリ砲の砲身を使うとした。旭は4インチ砲、105ミリ砲を使う。どうせ使い捨てるので、中古の砲身で十分だ。
原爆の中心素材は、濃縮率20パーセントのウラン235が100キロ以上必要だ。ウランの濃縮率が低いので、中性子反射材でウラン全体をくるみ、核分裂反応を持続できるようにする。
六カ所で最も大量にある中性子反射材は、再処理済み核燃料ペレットだ。ペレットを配置した砲身は、放射線遮蔽材で覆う。
かくして、長さ5メートル、最大直径1メートル、重量10トンほどの原子爆弾が出来る。爆発力はTNT火薬で10キロトンから20キロトン。
原子爆弾を日本のH-Ⅱロケットで打ち上げる。高度3万キロの静止軌道で隕石を迎え撃てば、地上へ核爆発の影響がおよぶ心配は無い・・・はずである。
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