夏がくる

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 悲しみというものは、どうしていつも思いがけないところから現れて、足元をすくうのだろう。  ひよりは重い足取りで歩きながら溜め息を落とした。  もうすぐ夏休み。  高校に入って初めての夏休み。  初めてできた彼氏と迎える、特別な夏休みのはずだった。  ーーなのに、いきなりフラれるなんて。  じんわりと涙が浮かぶのを、唇を噛んでこらえる。  この気の強さが、いけなかったのだろうか。    期待が大きければ大きいほど、裏切られた時のダメージは大きい。  ひよりの心は盛大に尻もちをついたまま、どうやっても起き上がれそうになかった。
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