夏がくる

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「ひより、元気そうだね。よかった」 「う……うん」  忘れていた感情がドラムを叩きながら帰還して、ひよりの笑顔を曇らせる。  ーー元気そう。  私って、悩みなさそうなのかな。  いつもは気にならない言葉が心の柔らかい部分に突き刺さる。 「……どうかしたの?」  一気にしなびたひまわりのようになったひよりに、清明が心配そうな顔をする。  このまま、ここでぶちまけたらどうなるだろう。  楽になれるかな。 「……なんでもない」  だけど、ひよりは何も言わなかった。 「ーーそっか。ならいいんだ。お土産あるよ」  追求しない幼なじみのさりげない優しさが、ひよりの心をほんの少しだけ軽くした。
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