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しばらくして、ひよりは清明に誘われて公園にきていた。
「で、なにがあったの?」
ベンチに座り、お互いの近況を話した後、清明はそっと聞いてきた。
「……清ちゃんは」
「うん」
「清ちゃんは、私みたいな女の子、どう思う?」
「うん?」
ひよりは目線を落としたままつぶやくように言った。
「私、がさつで気が利かないし、見栄っぱりだし……可愛くないよね」
「……どうしたの、いきなり」
じんわり、とまたしても勝手に涙が浮かぶ。
ひよりは少しづつ、今日あったことを話した。
初めて彼氏が出来て嬉しかったのに、突然別れ話を切り出されたこと。
ーー何も聞かないで、頷いたこと。
「どうして、何も聞かなかったのかな?」
「……いきなりで驚いたし、それに……なんか、くやしくて」
「くやしい?」
「……私のどこが駄目だったんだろうって。あっちから告ってきたのに、どうしてそんなこと言うんだろうって思ったら。……私のこと、全部、否定された気がして」
ぼろぼろ、と大粒になった涙がとめどなく流れ出る。
「……ひより」
優しく抱きしめられて、ひよりはすがるように清明にしがみつき、思い切り泣いた。
子供に返ったみたいだ。
何も知らなくて、でも毎日が楽しかったあの頃。
何かあると、清明に相談した。
子供だった。
でも、今も子供かもしれない。
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