私が死んだ理由

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「本来落ちるべきは君の友人の方だったんだけど、落ちそうになった時君の腕を掴んだことで君がバランスを崩して代わりに落ちちゃったんだよ」  見上げると元いた場所から青ざめた顔で涙をぼろぼろこぼす友人の姿が見えた。その手にはスマホ。泣きながら電話をしているようだ。それにしたってそんなに窓から身を乗り出したら危ないじゃないか。   「君が落ちて死んだから、このタイミングで君の友人は死なないよ」  それを聞いてほっとした。ここで一緒に死んだら本末転倒じゃないか。   「死んでくやしくないの?」  んー……明日から発売のコンビニの新商品試せないのはくやしいかな。 「友人を恨まないの?」  ここで友人も死んだら怒るかな。 「……面白い子だね」  失敬な。あ、死んだらこれで終りなの? 「今世(こんせ)はね」  ってことは来世とかあるの? 「あるよ。過去世もね」  うわぁ面倒くさい。 「……面白い子だね」  二回も言った! 二回も言った! 超失礼だ! 来世とかいらないんだけどなしってのはできないの? 「聞いてみるね。って言ってもあとは僕みたいに死神になることぐらいかな」  それも面倒くさそう。 「やっぱり面白い」  面白 いって言うな!
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