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私が死んだ理由
たいがい、人が死ぬのにドラマチックな理由なんてない。
病気とか、事故とか、私から言わせればとても理不尽なものだ。
そして人が死んだ後どうなるのか誰も知らない。
『死ぬ』ってどういうことなんだろうね。
なんて友達と話していたら、「教えてあげようか?」という聞いたこともない声と共に世界が暗転した。
え?
大学の、15階の教室の窓から落ちて私は死んだ。誰も巻き込まなかったのは幸いだったが、15階という高さもあり、その姿は二目と見られたものではなかった。
うわぁ……と自分の死体から目をそらす。
どうやら私は自分の身体から抜け出して魂だけになってしまったらしい。ようは幽霊というやつか。
「『死ぬ』ってどういうことかわかった?」
先ほど聞こえた声がして私はきょろきょろと辺りを見回し、近くで浮かんでいる黒衣の青年を見つけた。青年は何故かタキシードのような姿で、手には死神が持つような大鎌を持っていた。
うわぁ、もしかして死神ってやつですか。
「うん、一応そう呼ばれているよ。だけど困ったことに手違いが起きてしまったんだ」
手違い?
首を傾げる。青年─死神は大仰に困ったような顔をした。
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