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「わ、若頭、どうか俺たちを見捨てないでください……っ」
その女に三十路は過ぎている顔をした男が切羽詰まった顔で近づく。
「……」
女は、まだ若い顔をしている。16、17といったところだろうか。だが、その気迫は十代のような青臭さなどない。
「若……っ」
男がまた声を出すと、女はその男に顔を寄せた。そして
「てめーらの時代は過ぎたんだ。とっとと失せろや」
とても低く、冷めきっていた声だ。
だがまだ男は声を上げる。
「でも…、――っ!!」
次の瞬間、男は声にならない悲鳴を上げた。
襟首をつかまれ、体が宙に浮かぶ。
男は、女よりも10㎝以上は大きかった。もちろん体格も。
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