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女――名を勝堂彰(しょうどうあき)という。
勝堂家の跡取りとしての教育を受けていて、すでに三分の一の権力を持っている。そんな事情から家では男として育てられていた。今年で16になり、あるエスカレーター校に在籍している。
彰は自室につくと一言。
「着替え」
つぶやく。
するとふすまがすっと開き、「はい」と着物の女が高校の女子用の制服を畳の上に置く。
ふすまが閉じられると彰は着替える。
その後自室を出るとさっきの女が学生カバンの代わりであろうリュックを持っていた。
「どうぞ、彰様」
女の手からそのまま背負い、長く木の香りがする廊下を歩き続ける。
屋敷の玄関を開けると門までの道が屈強な男たちが二列に並びながら顔を下げている。
「「行ってらっしゃいませ!!」」
まるで何かの任侠の映画を見ているような光景だ。
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