跡取り

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彰は男たちの間の道を歩く。門扉の横には小老の男がいた。目を合わせると、 「じい様」 その音色はさっきまでとは違う、冷たさがない。 勝堂家の当主であり、彰の祖父であるその男はいつくしむように微笑んだ。 「行ってらっしゃい」 「はい、行ってまいります」 彰はそう告げると頭を下げ、門を出た。 今日から、新学期。 夏の終わりを告げるような暑さが、彰を包み込んでいた。
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