2人が本棚に入れています
本棚に追加
船乗り場に着いた俺らは、それぞれ船に乗るためのチケットを持って受付に行った。
チケットは片道分しかない。行き先はマジア島。
マジア島で、彼を見つけるまで俺らはここへは帰ってこない。そう誓ったのだった。
「お姉さん!受付お願いしまーす!」
コミュニケーション能力の高い弥生は、受付のお姉さんがかなりの美人とわかると、少しだけ声のトーンを上げて話しかける。
……ほんっとわかりやすいんだから。
「はいはい……。あら、マジア島行きのお二人さんね。予約は出来ているわ、チケットを頂きます」
そう言って俺らからチケットを預かると、器用な手付きでパソコンに何かを打ち込んでいく。
多分誰がこの街から出たかという記録を作っているのだろう。
昨日、この街からマジア島に行った人がいないか調べた所、そういう類の記録が見つかったからだ。
そこには、何年何月誰がどこ行きの船に乗り、何年何月にこの街へ帰ってきたかが事細かに記録されていた。
ここ数十年で、マジア島行きの船に乗った者はただの一人しかいなかった。
その人は出発の4年後にここへと帰ってきている。
帰ってきたのは丁度去年の今頃。もしかしたらこのお姉さん、その人について何か知らないだろうか。
「マジア島……あなた達も魔法使いを探しに行くの?」
お姉さんはパソコンを打ち込みながら言う。
……そう。マジア島には一人の魔法使いがいるという、奇妙な噂が流れているのだった。
最初のコメントを投稿しよう!