01:出発

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船乗り場に着いた俺らは、それぞれ船に乗るためのチケットを持って受付に行った。 チケットは片道分しかない。行き先はマジア島。 マジア島で、彼を見つけるまで俺らはここへは帰ってこない。そう誓ったのだった。 「お姉さん!受付お願いしまーす!」 コミュニケーション能力の高い弥生は、受付のお姉さんがかなりの美人とわかると、少しだけ声のトーンを上げて話しかける。 ……ほんっとわかりやすいんだから。 「はいはい……。あら、マジア島行きのお二人さんね。予約は出来ているわ、チケットを頂きます」 そう言って俺らからチケットを預かると、器用な手付きでパソコンに何かを打ち込んでいく。 多分誰がこの街から出たかという記録を作っているのだろう。 昨日、この街からマジア島に行った人がいないか調べた所、そういう類の記録が見つかったからだ。 そこには、何年何月誰がどこ行きの船に乗り、何年何月にこの街へ帰ってきたかが事細かに記録されていた。 ここ数十年で、マジア島行きの船に乗った者はただの一人しかいなかった。 その人は出発の4年後にここへと帰ってきている。 帰ってきたのは丁度去年の今頃。もしかしたらこのお姉さん、その人について何か知らないだろうか。 「マジア島……あなた達も魔法使いを探しに行くの?」 お姉さんはパソコンを打ち込みながら言う。 ……そう。マジア島には一人の魔法使いがいるという、奇妙な噂が流れているのだった。
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