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02:船旅
俺らの街が見えなくなり、辺りは一面青い海に覆われていた。
当たり前だ、船の上にいるんだから。
時々大きく揺れることもあるが、天気も良く、順調な船旅のように思える。
俺は船旅のことは何も知らないから、何とも言えないけど。
「……にしても、暇だなぁ」
しびれを切らした弥生は、あくびをして寝転がる。
甲板で日光浴と称した暇つぶしをしていたところだったのだが、確かに何もすることがない。
何もすることはないが、船自体はとても豪華で、俺らが乗るにはもったいないものだった。
どういう風に豪華かというと、この船には、食堂とホールと船長室、それからいくつかの部屋があり、部屋は二人一部屋で二人入ってもかなりの余裕があるほどの広さだった。
部屋には2つベッドがあり、もちろん風呂やトイレもきちんとついていた。
「贅沢言うな。あれだけ綺麗な部屋で、しかも3食出してくれるみたいじゃん?」
マジア島まではあと8時間といったところだろうか…。
俺らの街から10時間、出発してから2時間は経ったからな。
「楽しみは食事だけ……ってか」
「あぁ、昼食は12時からだから、もうすぐだろ」
そう言って腕時計を見ようとすると、指にはめていた指輪に目が止まる。
それにしても、この指輪には一体、どんな使い道があるのだろう。
受付のお姉さんは、この指輪には相当の価値があるって言ってけど……。
「ってあれ、もう12時だよ!
食堂行ってみよ!もう料理出てるかも!」
俺の腕時計を覗き見していた弥生が、キラキラした瞳で楽しそうに俺を見る。
よっぽど食事が気になるんだろう。
俺らは甲板をあとに、食堂を目指して船の中へと入っていった。
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