6人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
スニーカーの底から伝う砂浜の優しい感触。
潮風が鼻をくすぐる。まさに“海の匂い”だ。
グッと背伸びをし雲一つない空を仰ぐ格好になると、ビカビカした夏の太陽の光が目を突き刺した。
──瞬間。
眩しさに目を細めるも、突如として痛烈な眩暈に襲われた。
(──…あれ……?)
グラッとする頭を押さえながら、感じるのはグニャリとする足場。
(……ヤバ……なに急に……クラクラする)
夏の運動中に味わった事のある、極度の眩暈。
確かに汗もいっぱいかいたし、持参した水も飲み干したばかりだった。
熱中症という言葉が脳をかすめ、僕はフラフラとした足取りで海の家へと歩を進める。
今までのそれが無自覚だったのか、少しの息苦しさまでも感じ始めていた。
すると──。
最初のコメントを投稿しよう!