2.九十九里の海の家

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2.九十九里の海の家

 それ以降、特に九野さんと接点を持つ事もなく、気がつけば暦は7月半ば。  僕は、房総の東岸・九十九里浜までチャリでひとっ走り行ってみようという計画を立てていた。  というのも、その数日前に東京に住んでいた頃の友達とグループトークでやり取りした事に起因する。  僕は小学生の頃に野球をやっていて、その友達数人とはリトルリーグで共に汗を流した仲でもあった。  当時の思い出話に花を咲かせていると、夏休みに行った九十九里合宿の話題になった。  特に海の家で食べたあさりのバターソテーがめちゃくちゃ美味くて、まさに思い出の味というヤツだった。  思い出はそれだけではなく、極め付きなのが友達の一人と夕方にこっそり宿舎を抜け出して浜辺でキャッチボールをした事だ。  キラキラとした海が広がる浜辺──そんなシチュエーションでキャッチボールするのは貴重な体験だったと思う。監督には叱られたけど。  あと貴重な体験といえば──。  実は“幽霊騒動”なんてのもあった。
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