2068年7月

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アンケートは簡単なもので、子供についてどう思うか、幼少時代の思い出などについてだった。 アンケートが終わった。夫は私より早くアンケートが終わっていたようだ。 「理想の子供、か。頭が良いは外せないよな…後は…」 「…運動神経とかかしら。体力も必要になってくるし」 ドアが開き佐藤と野崎が戻ってきた。 「どうですかー?アンケートの方は」 「一応、終わりました」 「では、回収します」 野崎は私と夫からタブレットを受け取りまた部屋を出て行った。 「それでは、残るは理想の息子像ってところでしょうか?」 「ええ」 「そうですねー、参考までに…他のお客様ですと…やはり多いのはIQの高い子供。今時ITに強くないと生きてもいけませんからねぇ」 佐藤はタブレットを操作し、私たちにグラフを見せてくれた。 「頭が良い子供を望む親…100パーセント」 「そりゃ頭の良くない子供なんて欲しくは運命ないだろ」 …もし、万が一この子に何かがあり、頭があまり良くなければ、夫は子供を捨てる可能性もあるのだろうか?…いやいや、そうならないためにもここに来ているんだ。大丈夫、ちゃんと良い子に育ててるからね。 私はお腹をさすりながら子供に言い聞かせた。
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