2068年7月

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「…夫と相談してもいいですか?」 「ええ。ただ、最初に申し上げたように、こちらは国で極秘裏に進めているプログラムです。旦那様以外の方にはどうかご内密にお願いいたします」 佐藤の目が少し光ったような気がする。 「わかりました」 「どうぞ、よろしくお願いします」 「なんなら、旦那様の都合が合うときにまた説明に参りますので、ぜひご連絡ください」 2人はそう言うと帰っていった。 私はもう一度2人が置いて行った資料に目を通した。 「ただいまー」 夫が帰ってきた。私はお腹に負担がかからないようにしながらも急いで夫の元へ行く。 「おかえりなさい、あなた。これ見て」 夫の背中を押しリビングのソファに座らせる。そして昼間2人組が持ってきた資料を夫に見せた。 「理想のお子さんを育てよう…なんだ、これ?」 「まぁまぁ、いいから読んでみてよ」 夫は手元の資料に目を向けた。 「…怪しくないのか?」 「私も最初そう思ったわ。でも、お金かからないなら、詐欺じゃないと思わない?」 夫は顎を触った。 「確かに詐欺にしてはそこがな…。個人情報取るとかじゃないのか?」 「今の時代、個人情報保護法は厳しいのよ。そんなリスク冒すかしら」 「うーん、じゃあ日曜日、俺も一緒に話を聞いてみるよ」 「本当?ありがとう、あなた」 私は夫に後ろから抱き着いた。 「しかし、これが本当だとすれば凄いことだよな」 「ええ、そうよね。私、この子にはどうしても幸せになってほしいの」 私はお腹をそっと撫でる。私の手に夫も手を重ねる。 「俺もだよ」 私たちは見つめあい、微笑んだ。
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