2068年7月

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「次はこちらの部屋になります」 先ほどの真っ白な部屋と違い、イメージ通りの研究所というような部屋だった。 白衣姿の人が何人もいる。 「こちらでは、お子様のクローンを作り、育てる部屋となります」 野崎はまた手元のタブレットを操作する。 大きな試験管の前に来た。試験管の中には裸の10歳くらいの子供がいた。 「この試験管には成長促進剤が入っております。面会の日に合わせ、お子様を成長させます」 「ちなみに、ご両親の理想のお子様の性格形成のために、少し成長させてはこちらの心理学者が勉強などを見ます。もちろん、その内容は資料にして報告させていただきます」 「凄いな」 夫は試験管に近づいた。子供はうっすらと目を開け、また閉じた。 「苦しくは、ないんですか?」 「こちらですか?ええ、液体の中とは言え、睡眠状態のような感じになっております」 「そう、ですか」 私は試験管を触った。私の子も、この中に…。 「どうでしょう。外からとはなりますが、学者と子供の学習の様子を見てみませんか?」 「ええ、ぜひ」 「こちらへ」
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