終わりの夏に

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終わりの夏に

八月某日、朝。 耳をつんざくような蝉の大合唱に嫌気が差して、深く潜る。するとさっきまでの騒音はピタリと止み、ギラギラと照りつけていた朝日の光も見えなくなった。心地よい薄暗さとひんやりとした冷たい感覚に包まれ、ゆっくりと瞼を閉じる。あまりに気持ちいいからか、頭がボーッとしてきた。 ……あれ?これって眠気ってやつじゃないか。おかしいな、眠くなるなんて。長い間、此所で暮らしていたからだろうか。いつしかこの静かな水の中が心落ち着ける場所に変わっていたのかもしれない。 このままずっと、うとうとしていたい気持ちも山々だが、いつまでもそうしてはいられない。特に今日という日だけは、絶対に。
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