終わりの夏に

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蝉の声に耐えながら待つ時間は実際より二倍も三倍も長く感じる。時々、水面から顔を出しては見るものの、やって来る気配はない。 一旦また水の中へ潜ろうか。そう思い始めた頃だった。子ども達が戻ってきたのは。 朝、見かけた時と変わらない様子でワイワイと楽しげにこちらへ向かって来る。あぁ、良かった。今日もいつもと同じで川遊びにやって来たようだ。昨日も一昨日も、その前も。雨が降らない限り必ずと言っていい程のペースで彼らはこの川へやってくる。まぁ、プールも海もないこの小さな田舎町でまともに泳げるのはこの川くらいのものだ。少し深いが、流れはそんなに早くないので比較的安全な川だと知られている。その為、地元の子ども達がしょっちゅう遊びに来るのだ。 とはいえ、ここまで頻繁に訪れるのは彼らくらいのものだが。
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