終わりの夏に

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彼らは勢いよく服を脱ぎ捨てると、一人一人、順番に川へと飛び込んだ。これもいつもの儀式のようなもので、毎回同じ、川べりの高台から飛び込んでいる。 あの子どもが飛び込んだのは五番目。一瞬だけ水の中に沈んだ後、多量の飛沫と共に勢いよく顔を出した。先程まで感じていた暑さを全て塗り替えてしまう冷たさに、嬉しそうに顔を綻ばせる。 全員が飛び込むと、彼らは先ず泳ぎの競争を始めた。緩やかな川の流れにわざと逆らって、上流の方へと泳いでいく。あの子どもは泳ぎが速く、一番でゴールするのがお約束。他の子ども達はそんな彼を今日こそは追い越してやろうと懸命に手足を動かす。 今日もあの子どもは一番だった。友達同士でキャッキャと笑い合う姿をしっかりと目に焼き付ける。
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