終わりの夏に

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その後も、彼らは思い思いの遊びを楽しむ。お腹が空いた時には海パン一丁のままで近くの駄菓子屋で菓子やアイスを買って来て、川沿いの岩場で座って食べる。それが終わると、また川へ戻って行く。 いくら暑いとはいえ、よく飽きもしないでこんな面白味のない川で一日中遊べるものだ。……とは思うが、子どもはやはり自然の中で育つのがきっと一番いいのだろう。家に引きこもってゲームばかりしているよりは余程良い。 それに、彼らがこの川に来てくれなければ、あの子どもに会うことも出来なかったのだから。 あの子どもが遊ぶ姿を全身全霊で見届ける。優れたリーダーシップで仲間を引っ張る姿を。魚を取っ捕まえようと奮闘する姿を。アイスを頬張る姿を。その度に見せる、屈託のない笑顔を。 全てを忘れないように、目に焼き付ける。 きっとこの姿を見られるのは、今日が最後になるだろうから。
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