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いったいどこがゴールになるんだろうか。
生きていると、そう思うことが多々ある。
老衰で死ぬことなのか…
はたまた、結婚することなのか…
或いは、生まれてきた時点でゴールなのか……
いくら考えても結論は導き出せなかった。あの時まではーーー
ーーー既に、日は高く登り、キラキラした日差しが部屋へと注ぐ。
俺は、優しい声に起こされた。
「ーーー起きて、もうお昼になっちゃうよ」
と、俺の頭にポンと手を置き、微笑む女性。
寝ぼけ眼で、ふと外を見る。
ベッドの向こうの窓からは、お出かけ日和な爽やかな陽射し。
「あぁ、おはよ。悪い、寝過ごしちゃったな。今日、雨の日なのに」
すると、彼女はクスッと笑い
「そうだね、何回目の雨の日になるかな」
「8回目になるな」
「ついに8回目かぁ、すごいね」
と、感慨深げに。
「はは、そうだな。さ、支度するか」
「うん、そうだね!」
彼女は、うれしそうにキッチンへ。
2人で遅めの朝食をとり、俺は身支度をしながら、過去を回想する。
あれは、今から何年も前だ。
今、務めている会社の入社したての頃の話ーーー
なんとか内定をもらい、就職活動を成功させた。
しかし、本当に入りたかった会社ではない。
周りが内定を掴み取っていく様子を目の当たりにし、焦りがあったことや、就職浪人の恐れから、決めたところだ。
辛いことに、大学のゼミの追い出しコンパでは、見事に、ほとんどのメンバーが立派な一流企業に内定を貰っていた。
しかし、自分なりに努力した結果として、この状況は受け止めていた。
とは言えども、まるで、みにくいアヒルの子のような気分であったことは、今でも鮮明に思い出せる。
どちらかというと、内定を貰えたところに就職を決めたというニュアンスが、強いのは否めない。
なぜなら、就職活動は、思ったより厳しく、なかなか思い描いたようにはいかなかったのだ。
入りたいと感じる会社からは何度となく選考で落とされていた。
そんな中、たまたま見つけた地元の企業。
そこから内定を、ようやっともらう事となった。
内定企業は零細のため、同級生から、度々、そこ大丈夫か?と、ふざけ半分にいじられていた。
自分の決めた道を進むのが立派だとフォローして貰う事があったっけ…
確固たる思いがあったわけではないので、慰めになっていないわけだが。
そんな地味な就職先で、まさかの事態が起こるとは予想だにしていなかったーーー
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