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教科書には載ってない
友達から恋人に変わる瞬間っていうのはどんな時なんだろう? 答えなんて私には分かるはずもない。当然、誰からも教えてもらえないわけで。教科書には載ってないのかな。探してみる価値はあるのかもしれないです。
ところで、今日は朝から晴れ模様。特に困った天気ではなく、バターを塗った食パンに牛乳をコップ一杯というすごく手軽な朝食を食べて、鞄をひっつかみ、急いで家を出た。
私はのんびりと歩いて通学路を通り、田圃道へと続く階段を下りていく。と、ちょうどその時の十字路で、山下将司と鉢合わせた。運命の悪戯ってやつかしら。こういう時に限って、出会ってしまうのである。
将司と私は顔を見合わせ、お互いにふいと視線は逸らし、言葉は交わさずに歩き出した。そのうち、将司は男友達を発見して、そっちに駆けていく。私はポツン。一人で、友達に会うまでとぼとぼ歩くわけだ。
「あ、千歳!」
と、途中で中学一年生の頃から仲良しになった美代ちゃんこと、高橋美代と合流。駆け寄ってきて、小首を傾げる。私の顔色の悪さに気づいたようだった。
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