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「何か悪いもんでも食べた? まるで賞味期限切れのヨーグルトでも飲まされたみたいな顔してるけど」
「それってどんな顔よ」
「どんなって、そういう顔のこと」
美代ちゃんは私の顔を指さして笑う。ほっといて欲しい。私だってアンニュイな気分になる時ぐらいあるのだ。美代ちゃんもそうだろう。
「ははーん、わかった」
いきなり、全てはお見通しだというような名探偵の顔で美代ちゃんは顎を触った。
「謎は解けましたよ」
うるさい、黙れ。
教科書には載っていない友人の対処法を考えながら、私は無視して歩く。その後ろを急いでついてくる美代ちゃん。
「つまり、朝食を抜いてきましたね! ダメですよー。朝ごはんはちゃんと食べないと、元気が出ないのです。ほらほら、私のチョコバーでも食べる?」
美代ちゃんがあまりにもしつこいので、私は駆け出した。後ろを追いかける美代ちゃん。ったく。こんな嫌な気分になるのも、前方で男友達相手に気を紛らわすような顔で会話を交わしている将司のせいだ。
私は横を通りぎわに、将司の後頭部を叩いた。
びっくりした顔でこっちを見る将司。ようやく気づいたのか、のろま。美代ちゃんが追いつきそうだ。急いでまた走る。校舎へと続く階段を駆け上がった。
「待ってよー、千歳」
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