第1章 剣と魔法と現実と

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「でもそれなら、生徒会に新聞担当の『広報委員』とか作ればいいんじゃねえか?」  とそれまで黙って聞いていた虎丸が、飯をかき込みながら言った。  哲也は苦笑しつつ、ブロッコリーをぱくりと食べる。 「俺に言われてもな。新聞ってのはマスコミだろ? 司法・立法・行政の三権分立、そしてそれを監視するジャーナリズムを加えて四権。現代社会を構成する重要な要素だ。教育上、すごく重要だ。教師にとって新聞部を廃部にするってのは、躊躇することなんじゃねえの? PTAとか教育委員会とか、ウルサそうだし」 「……フン。かもな。そんで、その新聞部がどうしたよ?」 「新聞部の部員は、実質、一人だけ。二年生の女なんだけど、そいつが一人で作ってるって噂でな。その人が、ものすっげえ変人らしいんだわ」 「変人。どんなふうに?」 「自分は魔女だ、とか言ってるらしいぜ」  魔女! と虎丸と慎治が同時に叫んだ。 「それって本気なのかな? オカルト系のオタクとか?」 「さあ? 顔は美人で勉強もけっこうできる人らしいんだけど。けど友達はあんまいなくて、時々そういう電波系のことを言うらしい。実は自分は異世界とこの世界を自由に行き来することができて、そこでは魔法でモンスターを狩っているんだ、とか」
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