序章 とある駅前での魔女

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 ということで、初めて公立校に来たわけなので。電車通学の駅も初めて来る駅。今まで降りたこともなければ通過したこともない駅だ。そんな駅の自動改札を、通学用定期をかざして通過し、ホームに行く前にトイレへ入った。ちょうど小便がしたくなったのだ。  学生服のズボンのチャックを下ろして用をたす。  すっきりしてチャックを上げて、手を洗うために洗面台に向かおうとすると。  誰かがその前に立ちはだかった。 「おい、てめえ、サイフを出せ」  歳は同じぐらいか。私服の少年である。ダボダボのストリート系ファッションだ。  その後ろに視線をやると、仲間らしきヤツらが五人いた。全部で六人。  全員が同じような格好だ。不良というのは、なぜみんな同じ格好をするのか。たぶんバカで臆病なのだろう。同じ格好をしてないと、安心できないのだ。不良は自分を貫いていてカッコイイ、とかいうアホが時々いるが。大勢で一人を取り囲んで金をせびるヤツらのどこがカッコイイのか。ぜひ教えてほしいところだ。
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