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「ですが、人一人殺すのは重大な事です。例え、貴方を殺した相手であっても。彼のこれまでの人生を見てから決めるのはどうでしょうか?」
その時、あたしは、まるで、ず~っと昔の記憶を思い出すように、あたしを殺したヤツの人生を体験した。
TVを見る事さえ母親に制限された。
大きくなってもスマホやパソコンやゲーム機やマンガを買ってもらえなかった。
学校の成績が下がると、何日か食事抜きだった。
友達が出来ても、母親に引き離された。
あたしぐらいの齢になる頃には、母親に逆らうという事さえ考えられなくなっていた。
中学生になる頃には、人生の楽しみなどなくなっていた。
けれど、本当に幸運にも彼女が出来た。……でも、母親に知れると、小学校の時の友達と同じく引き離された。
そして、希望していた高校に行けず……人生が狂い、自分の心が歪んでいくのが、自分でわかっているのに、どうする事も出来なかった。
気付いた時には、まともな仕事にも就けないまま、おじさんと呼べる年齢になっていた。
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