プロローグ~ I'll be back~

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「痛ててて…お前なぁ? 朝から腹にかかと落としはないだろ!? 朝だぞ朝! 俺の肛門が暴発したらどうするつもりだ!? えぇ!? そこんとこ、解ってんのか!? えぇ!?」 「あ~はいはい。 悪かった悪かった。 これでいいだろう?」 投げやりな返事をする”姫”に多少イラっとした俺は、無言の眼差しを向けることにした。 ふふふ…力でこいつに勝てる気はしない。 だからこうやって俺は意思表示する他、選択肢はないのだ! 失礼。 俺の名は結城 悠希(ユウキ ハルキ)。 今年で十八になる、普通の高校生だ。 「ん? なんだよ? オレの顔に何かついてるのか?」 ふむ。 顔も良し。 スタイルも良し。 性格と目付きに多少難はあるが、いい女になったもんだ。 これならじきに彼氏の一人や二人…出来る事だろう。 もう心配はなさそうだ。  「おい? 何とか言えよ? なんだその顔? 気持ちわりぃ顔してるぞ?」 「誰が気持ちわりぃだってぇ!? 俺はな…そこそこのそこそこなんだよ! 中の下と言っても過言じゃないねぇ!! へっ!」 「はぁ? そこ、胸張るとこかよ? なんだ急に? ちょっとばかり強めにやり過ぎたか?」 何故か清々しい気持ちの俺は妙に落ち着ていた。 まるでこの後、何かが起こる事を知っていたかのように――― 暫くして。 建設途中のマンション付近に差し掛かった時である。 「ん!? なんだこれ!?」 「ん!? うぉ!!」 突如、すさまじい突風が俺達を襲った。 というか、あなたねぇ? もうちょっと「きゃ!」とか「やっ!」とか女の子らしいリアクションの一つ位したらどうなんだ!? って言っても、こいつはこいつだからな。 どうしようもねぇか。 そんな事を考えている時である。 男性の叫び声と共に、頭上から鉄骨が降って来たのは。 「あぶねぇ!! 離れろぉぉぉ!!」 「え?」 偶然なのか、必然なのか。 丁度頭上を見上げていた俺の目線は、鉄骨を捉えていた。 しかし。 左右に揺れる鉄骨からして、二人共助かる訳にはいかない様だ。 俺がそのまま走れば、辛うじて助かるかもしれない―――
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