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だが。 やっとこいつは人生を楽しめそうな所まで来れたんだ。
だったら、俺の様なつまらない人間より―――未来明るい彼女の方が大事だ。
頭で考えるよりも先に、既に俺の手は彼女の背中を力一杯押していた。
大丈夫だ。 あの馬鹿…まだ何が起こっているのか理解してないみたいだし。
丁度よかったぜ。
あ~あ…童貞のまま死ぬのは流石に気が引けるな。
あの鉄骨。 当たると痛そうだ。 ―――出来れば即死する方がいいな。
いや、このまま突っ立てるとワンチャン生き残るか? というか…あいつに何か言わなくていいのか?
駄目だ。 頭の中が滅茶苦茶で何も出て来ねぇ。
ただ。 一つ言える事があるのだとすれば―――
「やっぱ。 童貞のままとか…ないわぁぁぁぁ!!」
「悠、希?」
その言葉を最後に、俺の目の前は真っ暗になった。
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