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 結局――  大きな希望を抱いたおみよも、所詮元通りに剣を握れるようにはなるまいと思った勇二郎も、ともに正しかった。  この時を境に勇二郎は著しく回復し、薬湯や重湯が喉を通るようにもなったし、まったく他人の物のようであった手足は、曲がりなりにも自分の物になった。  しかし、まともに動くわけではなく、もちろん剣など到底持てよう筈も無かった。  夢うつつから醒め、意識がしっかりとしてくるにつれ、 (なぜ、死ななかったのか……)  こんな体で生き長らえる位なら、死んだ方がましだとの思いはむしろ、強まった。  にも関わらず口に運ばれる重湯や薬湯を飲み、命を繋いでいたのは、どうせ死ぬなら、せめて武士らしく刀で死にたいと思っていたからだ。  しかし、それでも、些細なことも見逃さず、いちいち勇二郎の回復を喜ぶおみよの笑顔は、確かに勇二郎にとって唯一の救いだった。  いつも、明るく笑っているという娘ではない。むしろ、酷い目に遭わされて、笑顔などどこかへ置き忘れてきたような顔をしていた娘なのだ。
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