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 おみよも勇二郎の気持ちを察して、あえて人を呼ぼうとはしなかった。 「おら、力仕事には慣れてるもの。米俵だって、かたげる!(担げる)」  おみよは、顔を真っ赤にして踏ん張ったが、倒れて以来随分痩せたとは言え、元々大柄な勇二郎は、米一俵などよりはるかに重い。  か細い少女の体では、背負うことなど到底無理な話で、ぺしゃりとつぶれた。  息が詰まりながらもおみよは、このせいで勇二郎に怪我をさせてしまったのではないかと、べそをかきかけた。  その時―― 「……先生! これは、一体、何事で?!」  驚いたような声が聞こえ、ふわりと体が軽くなった。  道場の人達では無かった。  四十も半ば過ぎといった年配の、小柄だけれどちょっと怖いような顔をしたお侍が、勇二郎を抱え起こし、下敷きになっていたおみよを見て目を丸くしていた。
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