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 それを、決して許さなかったのが、おみよだ。  おみよは、そんな勇二郎の思考を先読みしたかのように、いつの間にか、刀を勇二郎の手の届かぬ所へ片付けてしまっていた。  どんなざまであろうとも、剣客の部屋に、刀が無いなんてことがあって良いものでは無い――という苦情は、あっさりと却下されて、 「先生は、おらの命の恩人だもね。今度は、おらが助ける。……絶対に、絶対に死なせはしねえからね」  ひどく、思い詰めた表情で、そう言った。  とにもかくにも、勇二郎が意識を取り戻した時、おみよはもう、まるでずっとこの家にいた女中のようにくるくると立ち働き、甲斐甲斐しく何から何まで――そう、本当に何から何まで勇二郎の世話を焼いていたのである。  そんなつもりは無かった。  恩に着せるつもりなど、微塵も無かったし、こんなことをさせるために、連れてきたのではない。  そう思ったが、その時の勇二郎はもはや、おみよの小さな手に全てを委ね、赤子のように世話をされているより他、無かったのである。
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