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三
突然、物陰から二人の浪人者が飛び出してきたと思ったら、ぴかりと光って、あっという間に連れの男は朱に染まった。
悲鳴を上げる暇もなく、おみよは口を塞がれ、草むらに引きずり込まれていた。
丁度、小塚原というお仕置き場のすぐ近く。辺りに人気は無い。
「まだ、餓鬼ではないか」
つまらなさそうに、一人が言う。
「女なら、なんでも構わん」
もう一人が言って、おみよの着物を手荒くむしり取り、のしかかってくる。
おみよは、歯を食いしばった。
(男など、みんな同じ、けだものだ――)
「なんだ、こんな小娘のくせに、もう生娘じゃねえのか」
性急におみよを貫いた浪人者が、馬乗りになったままで、舌打ちをした。
確かに、この苦痛と嫌悪感しか伴わぬ、けだものじみた行為を強要されるのは、初めてのことではなかった。
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