憂鬱

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憂鬱

 「まずルールを理解することだ、その後は上手くプレイするだけだ」  授業中、以前にどこかでそんな言葉を聞いた事を、ふと思い出していた。窓の外をみると6月の陽気が雲間から世界を美しく照らし出している。 世界が春を喜び歌い、ひかり輝いて見える、しかし窓には同時に、鋭い目をした不機嫌そうな自分の顔が写っていた。  この現代社会という科目は、数学の次に苦手な科目であった。先生が黒板を文字で埋めてゆく中、生徒は順に声にだして、教科書を読み上げている。  この先生はいつもこのスタイルだ。ただ黙々とチョークを走らせている間、生徒に朗読をさせる。適度に説明は挟むが、その話は淡々としていて、楽しく盛り上げようというものではなかった。授業を受けているというよりも、お互いに作業に従事しているようで、何一つ面白くなかった。
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