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「朋美は何かある?なりたいものとか、やっぱり写真関係・・・?」
「うん、そうなれたらいいなって思ってるけど・・・」
「朋美ならなれるよきっと、写真もカメラも凄い詳しいし、頼れる師匠もいるでしょ?」
朋美が以前から写真を撮るのが好きだという事を夢希は知っている。朋美の父親がカメラマンで、その影響で小さい頃から写真が好きだったそうだ。よく朋美の家には遊びに行くのだが、朋美の部屋には大きなコルクボードがあり、そこには、朋美と父親の取った写真がたくさん飾ってあった。動物や風景、色々な写真が貼り付けられている。その中にはマンホールや電柱、道端の地蔵にポストといった変わったものまであった。夢希は良い写真の定義などは何も分らなかったが、それでも朋美の撮る写真には何か引き付けられるものがあった。そして、師匠とは朋美の父親のことだ。
「どうかな、私のはさ、完全に趣味で割り切ってるから楽しいけど、お父さんは凄く大変そうだし・・・」
そう言うと朋美は少し寂しそうな顔をした。朋美はあまりこういう表情を人には見せない。それは、周りに心配をかけないようにする為の彼女の癖だった。しかし夢希にはその癖が強がっているように見えて逆に目を引いた。
「お父さんと何かあったの・・・?」
いつのまにか、自分が悩んでいた事も忘れて、朋美の心配をしていた。
「ううん、何もないよ・・・!カメラマンは大変だぞって言われただけ・・・」
朋美は慌てて否定した。
「・・・・・そっか・・・ならいいんだ、まぁでも何かあったら相談してよ・・・?」
寝そべらせていた身体を起こしながら言った。
「うん、ありがと、でも本当に大丈夫だからね・・・?」
念を押してくるあたりが、あまり大丈夫ではないサインだと夢希は知っている。
ーーと突然、ドンッと身体に衝撃を感じた。後ろから何かが激突したような強い、しかし柔らかい感触・・・これは知っている感覚だ。
「オレにもそうだんしろよーーー!?」
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