それは、知らない間に

6/8
前へ
/8ページ
次へ
ユウヤ:ナユタ氏なのですか ナユタ:いかにも ユウヤ:こ、こんな奇跡があり得るのですね ナユタ:いやあ、私も驚きましたぞ ナユタ:さあ、また共に最強を目指しましょうぞ ユウヤ:あったりめーだ  その時から裕也は何かに取り憑かれたようにゲームに没頭した、カーテンの外は明るくなり、小鳥のさえずりが聞こえだす。 「お兄ちゃん、早くしないと遅刻するよー」  妹の声で一旦ゲームから離れる、慌てた素振りで朝食済ませ、服を着替えた所で、母親は先にパートへ出た、続いて妹が出る、父親は裕也が起きた時点でもう出勤していた為、家には裕也のみが、残った。  備え付けの電話機の受話器を握った。 『はい、陵波高校(りょうなみこうこう)です』 「あ、一年二組の高梨と言いますが......」 『少々お待ちください』  電子音楽の音を聞いて数秒待つと、いきなり音楽が途切れて、担任の声が聞こえた。 『どうした? 高梨』 「あ、ちょっと今日、祖父が急死しまして、学校休んでいいですか?」 『おお、それは大丈夫だ、休め』 「はい」  担任を騙す事などチョロいものだ、これで心置きなくゲームができると、部屋へ帰ると夜までゲームを続けた。もちろん家族の誰にもバレてはいない。  そして翌日、また同じように裕也が最後まで家に残った。前日の事で味をしめた裕也は、再度学校へ電話をかける―― 『はい、陵波高校です』 「......あ、あの、い、妹がさっき車で跳ねられて、即死......らしいので......」  若干の演技を使えば、違和感なく受け入れてくれる。それから裕也は繰り返し家族、親戚を殺し続けた。  高梨家に裕也以外もう誰も殺す者がいなくなった時、【I.N.S】のキャラクターは、以前の強さを取り戻していた。 ナユタ:さあ、リベンジと行きますか。 ユウヤ:もう、誰にも邪魔はさせん!  quest start の文字を見た所で、画面が止まった。 ――回線が繋がりません――
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加