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それに密かな楽しみだってある。
農家と切っても切れない農業組合には秀の嗜好にぴったり当てはまる奴がいる。
それが毎日の楽しみ、癒し、またまたオカズとなる救世主がいる。
「清田さーん!頼まれてました農薬お持ちしましたー!」
畑で作業をする秀に笑顔で手を振る救世主。満面の笑みで大きく手を振る彼に収穫中の手を止め、いそいそと組合営業マン、小田 修一郎に駆け寄った。
「小田さん!いつもすみません」
それに負けず劣らず笑みを返す秀は、抱きしめる勢いで小田に近付いた。
「ダメです!今、仕事中だから」
甘いマスク、サラサラな前髪を掻き上げる仕草にキュンと胸を打ちながら、秀より少し背の低い彼に伸ばした手を窄めた。
こっちに帰って間がない頃、農家のノウハウや父から受け継ぐことが出来なかった細かな事を、この営業マンの小田から教わった。そしてその真面目さに惹かれ、そう多分この先もこの人に気持ちを打ち明ける事なく思い続けていくんだろうと漠然と思うくらいには一途なんだと自負している思いを燻らせている。
だけど返ってきた言葉どうり、スキンシップ過多な風情を見せつけている。
「仕事終わったらいいのかよ」
少し頬を赤らめる仕草にグッときながら平静を装い秀は聞いてみる。どうせ、子供が待ってるからダメだって答えることはわかっているのだが。
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